近年、オンラインゲームを通じて子どもたちが性被害に巻き込まれるケースが急増している。特に小学生に対する被害が目立ち、警察庁は運営会社の安全対策を調査し、今後の防止策を検討することを表明した。この状況を深刻に受け止め、私たちはどのように対策を講じていく必要があるのか考えたい。
増加する被害の実態
警察庁の調査によると、昨年、オンラインゲームを介した性犯罪の被害者は全国で89人に上り、2019年の65人から約1.4倍に増加した。この中には48の児童ポルノ関連の事例が含まれ、30件が青少年保護育成条例違反、15件が略取誘拐や不同意等の重大犯罪であった。
被害状況の詳細
以下の表は、オンラインゲームを通じて発生した性犯罪の内訳を示している。
犯罪の種類 | 件数 |
---|---|
児童ポルノ関連 | 41 |
わいせつ行為 | 30 |
略取誘拐や不同意 | 15 |
児童買春や面会要求 | 3 |
2022年からの推移を見ても、特に小学生に対する被害が増えている。今年の被害者の中で最も若いのは、なんと8歳だったというから驚きである。
被害の手口と特徴
犯罪者は、オンラインゲーム内で利用者同士のアバターが近づくことで会話ができる「ボイスチャット」機能を利用し、子どもたちに近づく。この際、他人の名前や写真を使い、女性になりすまし親しみを持たせる手法が多用される。また、ゲーム内でのやり取りが進むにつれ、個人のSNSに誘導するケースも多く見られる。以下は、主な手口の例である。
- ゲームアイテムを贈って対価を要求:ゲーム内でアイテムを贈り、代わりにわいせつ行為を求める。
- 写真の脅迫:「顔写真をネットにさらす」と脅してわいせつ画像を送らせる。
- 遊びの誘い:「一緒に遊ぼう」「うちに来ない?」と誘う手法。
最近の被害事例
実際の事例では、大阪府警において、17歳の少年がオンラインゲームで出会った小学生の女児にわいせつな要求をしたケースがあった。この少年は、女児と顔写真を交換させた後、脅迫してわいせつ画像を送らせるという手口を使った。捜査では、他に10人以上の中高生にも同様の行為を行っていたことが発覚している。
親の役割と対策
子どもたちを性被害から守るために、親や教育者が出来ることは何か。IT事業者が設立した「安心ネットづくり促進協議会」の上沼紫野弁護士は、ゲームの禁止が逆効果になる可能性を指摘している。子ども達にとってゲーム仲間は非常に重要な存在であり、禁止することが反発を招きかねないからである。
具体的な対策
- コミュニケーション:家庭内でオープンにゲームの話をし、どのような人とやり取りをしているかを把握することが重要である。
- ルール設定:例えば、「ゲームで知り合った人と外で会う場合は事前に相談する」というルールを設けるとよいだろう。
- 監視ツールの利用:自動的に性的な画像や暴力的な表現を探知し、警告を届けるサービスの利用も検討すべきである。
このような対策を通じて、家庭でのルール感覚を育てながら、子ども達が安心してゲームを楽しめる環境を作る必要がある。
業界の取り組み
ゲームの業界では、年齢による利用制限や、保護者が管理できる「ペアレンタルコントロール」機能の導入が進められている。しかし、実際には子どもが親の端末を使い、制限をすり抜けてゲームを行うことがあるのが現実だ。特に海外のゲームには規制が緩いものが多く、問題はますます複雑化している。
警察の実態調査
警察庁は、このような実態を踏まえ、国内外の約20種類のゲームを対象に初の実態調査を行うことを決断した。この調査では、アカウント登録や通話、メッセージ送信の方法など、加害者と被害者がつながる仕組みを確認していくことが目的である。
まとめ
ネットゲームから子の性被害増加という現状は、私たち全員にとって緊急の課題である。子どもを守るためには、大人、親、そして業界全体で連携し、具体的な対策を進める必要がある。これ以上の被害の拡大を防ぐため、個々の行動が求められている。
以上が、ネットゲームから子どもが性被害を受けることが増加しているという現状についての概要である。引き続き、注意喚起を行い、具体的な対策を進めていくことが必要だ。