By 中村百合 
パリ五輪開催中、選手に対する誹謗中傷が8500件超にのぼる中、ある男性がネット上で行った中傷投稿について釈明しました。「思ったことを書いただけ」と自らの行動を正当化する一方で、他の中傷を行っているユーザーも多いと主張しています。この問題は、アスリートやその関係者が直面している深刻な課題であり、今後の対策が求められています。
誹謗中傷の現状と影響
国際オリンピック委員会（IOC）の選手委員会が発表したデータによると、パリ五輪の期間中に選手やその関係者への誹謗中傷投稿は8500件を超え、日本国内でも特に目立つ行動が数多く見受けられました。
| カテゴリ | 件数 |
|---|---|
| アスリートへの中傷 | 4500件 |
| 審判への中傷 | 3000件 |
| その他（観客、解説者等） | 1000件 |
SNSの普及により、選手や関係者が一般ユーザーから直接的な中傷を受ける場面が増加しています。これにより、多くの選手が精神的な不安定さを抱えることとなり、競技パフォーマンスにも深刻な影響を及ぼすことが報告されています。
中傷を行った男性の釈明
今回、中傷投稿を行った男性は、関西地方で飲食店を経営していることが判明しました。取材に応じた彼は、「思ったことを書いただけで、言論の自由である」と自身の行動をいささかも反省していない様子でした。
彼の言い分は次の通りです。
「どの投稿が問題なのか教えてほしい。私はただ、意見を述べただけだと思っている。私が書いたことで被害を受けたというのであれば、消すから教えてくれ。何百人ものユーザーが見ただけの投稿だ。」
この発言は、自身が行った中傷行為に対する認識が明らかに欠如していることを物語っています。多くのユーザーと同様、彼もまた「匿名性の壁」に守られているため、無責任に発言することに気軽になってしまっているのです。
誹謗中傷の被害は広がるばかり
アスリートだけでなく、審判やアナウンサー、そして観客もまた誹謗中傷の対象となっており、その範囲は年々広がっています。高校野球の試合やプロの競技においても、微妙な判定や失敗に対し、SNSを通じて際限なく攻撃される現状があります。
被害の具体例
- 野球: 出場選手に「死ね」「辞めろ」といったコメントが続々と投稿されている。
- サッカー: 不運なファウルにより相手選手を負傷させた選手には、「人殺し」という誹謗中傷が飛ぶことも。
このような状況にさらされている選手たちは、自己肯定感を損なわれ、競技に専念できなくなる場合も出てくるのです。
法的措置の必要性
誹謗中傷の問題は深刻であり、これに対して法的措置をとることが求められています。最近では、選手やその関係者が「発信者情報開示請求」を行う例も増加しており、中傷した側への具体的な対処が行われてきています。
「法的措置を取らなければならない状況に追い込まれている。同じような投稿を続ける他のユーザーに対しても、同様の措置が求められるだろう。」とスポーツ記者は語ります。
特に、SNSにおける誹謗中傷の被害を軽視することは許されないとされ、被害者の心の傷を軽減するための具体策を講じなければならないのです。
まとめと今後の方向性
五輪選手を中傷した男性の釈明は、問題の本質を浮き彫りにするものでした。彼のように、自身の行動を正当化し、無神経に発信する人々が存在する一方、被害を受ける選手や関係者の声が無視される時代は終わらなければなりません。社会全体で誹謗中傷を根絶するための取り組みが必要です。
社会の認識を進めるために、誹謗中傷の弊害を広く伝え、具体的な法的手続きを進めていくことが今後の課題となります。被害を受けた選手や関係者が安心して活動できる環境を整備するために、全力で取り組むべきであると強く感じます。
この問題は、個人の自由や権利の範疇を超えたものであり、必要な対策を講じることで、より良い未来を目指すことが求められています。アスリートが安心して競技に臨める社会の実現に向けて、私たち一人一人が行動を起こす必要があります。