By 中村百合 
【9月1日 AFP】全盲のeスポーツプレーヤー「真しろ」さん（26）は、音を頼りに対戦型格闘ゲーム「ストリート・ファイター6」への挑戦を行っています。しかし、リアルな世界では外出時に頼りにするのは同伴者だけではありません。最近、彼は人工知能（AI）を利用した道案内に挑戦しました。これにより、全盲者の独立した移動の未来に光が差し込むことが期待されています。
藤本昌宏さんは、小眼球症を抱えつつも、全盲であるがゆえに多くのハードルに直面してきました。彼が参加したのは、東京都内で行われたパラeスポーツイベントです。その際、就労支援や日常生活での情報提供に活用される対話型言語AI「ChatGPT-4o」を試しました。藤本さんは、AIの進化が人々の生活をどのように変えるかに期待を寄せています。
AI技術の背景
AIの進化とアクセシビリティ
現在、AI技術は急速に進化しています。特に、オープンAIが開発したChatGPTや、グーグルの「ジェミニ」といったAIアシスタントは、教育や雇用など、多くの場面で人々のアクセスを向上させる可能性を秘めています。以下の表は、AI技術がもたらすアクセシビリティの向上に関する最新の統計を示しています。
| 項目 | 2019年 | 2023年 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| AIアシスタント利用者数 | 20% | 45% | 125% |
| 障害者向けサービス利用率 | 15% | 40% | 166% |
| テクノロジーを通じた雇用率 | 30% | 50% | 67% |
近年来、AIが多くの分野に適用され、特に障害者支援において重要な役割を果たすことが期待されています。藤本さんの事例は、その一環を示しています。
ChatGPTの実際の利用
このイベント当日、藤本さんは白杖を持ち、その先には小さなサルのマスコットを付けて道を探りました。道案内をAIに求めながら、彼は周囲の音に耳を傾け、真剣に移動を開始しました。「AIと話すのは楽しいよ。まるで友達と話しているみたいに」と彼は語ります。
「道案内をしてもらうのはもちろんだけど、AIには視覚障害者向けにもっと詳しい情報を提供してもらいたいな」と彼はさらに要求しました。AIはその期待に応え、人混みや交通音の情報も発信しました。全盲の彼にとって、それは重要なヒントになるのです。
技術による挑戦と期待
藤本さんが向かうイベント会場までの所要時間は、通常であれば徒歩20分ですが、彼はUターンを繰り返し、結局80分程度かかりました。「周囲の状況に応じて対応していくのが大変だったけど、AIがあったからこそ、自分のペースで進むことができた」と彼は振り返ります。
さらに、雨が降り始めるなどの困難があったにもかかわらず、藤本さんは無事にイベント会場に到着しました。到着の瞬間には、「到着！」と叫び、感極まって両手を突き上げたのです。この瞬間は、全盲にとっても充実した経験となりました。
AIの未来と障害者支援
AIの道案内技術は、藤本さんだけでなく、全ての障害者にとって選択肢の一つとなる可能性を秘めています。今後、AI技術が進化することで、さらなるサポートが実現されることが期待されています。具体的には、以下のような応用が考えられます。
- 個別化された道案内: 利用者のニーズに応じた、より詳細で直感的な道案内ができる。
- リアルタイム位置情報共有: 友人や家族と位置情報を共有し、常にサポートを受けられる。
- 周囲の状況判断: AIが周囲の人や物質を感知し、避けるための指示を出すことが可能になる。
藤本さんの体験は、全盲者がAIを利用することでより独立した生活を送れる可能性を示しています。また、そうした体験は、他の障害者にも夢を与えるものであり、今後の展開に広がりが期待されます。
まとめ
AIの発展は、障害者の生活を劇的に変える可能性を秘めています。全盲のeスポーツ選手「真しろ」さんの挑戦は、その象徴的な例であり、AIの力で新たな道を切り拓くことができることを教えてくれました。このような取り組みが、未来の社会全体にどのように影響を及ぼすか、その行く先を見守りましょう。
