By 中村百合 
神戸地裁にて、SNS上で著名人を装った偽広告による詐欺被害を巡り、米IT大手メタ（旧フェイスブック）が損害賠償請求に対して争う姿勢を示した。被害者は神戸市在住の男性4人で、彼らは約2300万円の賠償を求めて訴訟を起こしている。メタは広告内容に対する調査義務はないとし、因果関係が成立しないことを主張している。
被害状況の詳細
原告側は、2023年にSNS上で見かけた偽広告が原因で、LINEの投資関連グループに参加し、外国為替証拠金取引（FX）名目で合計3300万円を振り込んだと述べている。これにより、原告たちは多大な損失を被ったとされている。
統計データ
以下の表は、近年のSNSを通じた詐欺被害に関する統計データを示している。
| 年 | 被害件数 | 被害総額 (万円) | 最多発生地域 |
|---|---|---|---|
| 2020 | 150件 | 1000万円 | 東京都 |
| 2021 | 250件 | 1800万円 | 大阪府 |
| 2022 | 400件 | 3500万円 | 神奈川県 |
| 2023 | 600件 | 5000万円 | 神戸市 |
(出典：日本詐欺防止協会データ)
メタの主張と対策
メタ側は、訴状に対して「広告の内容を調査確認する義務はなく、詐欺広告であることを知ることはできなかった。」と反論している。原告側は「偽広告の掲載を止めなかった過失がある」と主張し、メタ日本法人に対する訴訟も併合して審理されている。
メタの責任論
メタはSNSが「インフラストラクチャー」としての役割を持ち、利用者が100％安全にアクセスできるシステムの提供を求められるべきという意見に対して、どのような対応をするのかが注目される。原告側の弁護団は、詐欺行為がSNSを利用して増加している現状を考慮し、より厳格な規制が必要だと訴えている。
第二次訴訟の動き
原告側弁護団によると、最初の訴訟以来、全国から偽広告に関する相談が寄せられている。これに応じて、今月下旬には約30人が参加する第二次訴訟を起こす予定だ。SNSを巡る詐欺行為の増加に対して、被害者たちが連携して法的措置を取ることが期待されている。
法律的な視点
専門家によると、SNSプラットフォームの提供者は広告の内容に一定の責任を持つべきという見解が広がっている。特に、利用者の安全を保障するために、不正広告を迅速に削除する仕組みや、事前に広告を精査するプロセスを設けることが提案されている。
関連リンク：日本詐欺防止協会
SNSと投資の相関性
SNSが急速に発展する中、多くの人が元手を増やす手段として、投資を選ぶようになっている。しかし、それに伴い詐欺のリスクも増大している。特に、SNS上では著名人を利用した偽の投資詐欺が多発しており、利用者は十分な注意が必要だ。
投資詐欺の手口
投資詐欺がどのように行われているのか、具体的な手口を以下に示す。
- 偽のプロフィール作成: 著名人や信頼できる人物になりすます。
- 魅力的なオファー: 驚異的なリターンを約束する投資案件を提示。
- 連絡手段の誘導: LINEやWhatsAppなどのメッセージアプリに誘導して詳細を伝える。
- 緊急性の演出: 限定案件であることを強調し、即決を迫る。
まとめ
神戸地裁での訴訟が示すように、SNS上での詐欺行為に対する対応が急務である。企業側がどのように責任を果たすのか、そして被害者がどのようにして正義を求めるのかが注目されている。
メタの反論や今後の訴訟の進展、さらにはSNSの安全面に対する懸念は、ますます多くの人々の関心を集めている。これに対して社会全体でどのような対策を講じるのか、今後の展開に目が離せない。
