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高校タブレット自己負担に親悲鳴!「教育の未来が危うい」

近年、日本の高校教育においてタブレット端末の使用が急速に拡大しています。しかし、その一方で、タブレット端末の購入が保護者の自己負担となる自治体が増加し、多くの家庭が経済的な苦境に立たされています。特に香川県では、来年度から県立高校の新入生に対してタブレット端末の公費負担が終了し、保護者負担に移行することが決定されました。これにより、多くの親が「そんなにお金がかかるなら、高校に行かせられないかも」と悲鳴を上げています。

いま、学校教育におけるタブレット端末は必須

文部科学省の調査によれば、義務教育の小・中学校における1人1台の端末整備が99.9%完了しており、公立高校でも整備率は100%を超えています。この中で、23の都道府県が公費負担を行っている一方で、24の都道府県は保護者負担に切り替えています。

タブレット端末の現状

端末の種類 公費負担台数 保護者負担台数
中学校・高校 約103万台 約100万台

(データ出典:文部科学省)

このような状況の中で、タブレット端末の購入価格が家庭に重くのしかかることが懸念されています。一台あたりの新品のタブレット端末の価格は5万5000円から7万5000円に達するのが一般的で、多子世帯では購入負担がさらに増加します。

保護者の悲鳴と対策の試み

香川県高松市の福本由紀子さんは、小・中学生の子どもが3人いる家庭で、県内の高校に通わせるためには、学費に加えて22万円以上の負担が新たに生じることに頭を抱えています。経済的余裕がない家庭が増える中で、「お金に余裕がある家庭ばかりではない」と彼女は強く訴えています。

また、福本さんは「香川県の高校生のタブレットについて考える会」を立ち上げ、地元商店街で署名活動を通じて、タブレットの無償貸与の継続を求めています。その署名活動はすでに複数の家庭の支持を受けており、所属する教育委員会に提出される予定です。

保護者負担の影響

文部科学省の研究によると、公立高校の年間教育費は平均約31万円で、その中でも特に多いのが通学費と授業料です。タブレット端末の費用が加わることで、教育費がどれほど増えるのかが懸念されます。

支出項目 平均支出額
通学関係費 約9万1000円
授業料 約5万2000円
タブレット代金(想定) 約7万円

このように、教育費の増加は多くの家計に深刻な影響を及ぼすことが予測されています。

自治体ごとの違いと課題

香川県だけでなく、他の県でも同様の負担移行が見られ、特に群馬県では入学生から保護者負担に切り替える政策が導入されています。また、BYOD(Bring Your Own Device)方式の採用が進む中で、タブレット端末を所有する自由度は高まりますが、依然としてコストの問題は解決されていません。

宮城県などは無償貸与を維持しているものの、将来的には保護者に負担させる方向で進む見通しです。このような政策の背景には、各自治体の財政状況が影響しています。

専門家の見解と今後の考察

教育の専門家である千葉工業大学の福嶋尚子准教授は、タブレット端末の自己負担化について「学校運営に必要なものは基本的に学校設置者が負担するべき」という見解を示しています。この考えは、教育基本法にも基づいているもので、保護者に過度な負担をかけることは子どもの学びの権利を奪う行為と指摘しています。

子どもの学ぶ権利の観点から

福嶋准教授も指摘するように、「タブレット端末を保護者に負担させれば、購入を断念せざるを得ない人が出ます」との意見は多くの保護者の共感を呼んでいます。教育条件の整備が不十分になることで、教育のデジタル化が進む中での格差の拡大が懸念されています。

教育の未来に向けた解決策の模索

国は子育て支援や教育の質向上を謳っているものの、具体的な支援措置が求められています。タブレット端末の導入はGIGAスクール構想の重要な要素であり、これを保護者に負担させることが教育における不平等を生むことは明白です。文部科学省には責任ある対応が求められています。

タブレット端末の導入が教育の未来にどう影響するか、また、それによって保護者や子どもたちがどのような影響を受けるかは、今後も注視が必要です。タブレット端末が教育にとっての新たな「必需品」である一方、その負担をどう均等化するかは喫緊の課題と言えるでしょう。

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