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ゲーム通貨を現金取引:犯罪の温床に潜む危険な実態

人気のオンラインゲーム内で、プレイヤーがゲーム通貨を現金で取引する「リアルマネートレード(RMT)」が、今や深刻な犯罪の温床となりつつある。警察や捜査機関はこの現象に対して警戒を強めているが、法的な規制は未整備であるため、取り締まりは難航している。このような中、RMTがマネーロンダリングの手段としても利用されている疑いについても新たに浮上している。

RMTの現状と影響

RMTが広まった背景には、多くのプレイヤーがゲームを迅速に進行させたいという欲求がある。いわゆる「強くなりたい」という心理から、ゲーム内通貨やレアアイテムを購入することが一般的になっている。この状況は、特に「リネージュM」のような人気オンラインゲームにおいて顕著である。

項目 数値
RMTによる取引総額 約26億円(2014~2023年)
RMTに関する相談件数 増加傾向にあり
逮捕者の数 複数(組織的犯罪含む)

このゲームではログインするだけで、他のプレイヤーと協力して進むことができ、多様なプレイスタイルが魅力だ。しかし、不正な取引が行われることで、誠実にプレイするユーザーの満足度が低下し、ゲーム全体の人気が衰える危険性がある。

取引トラブルの実態

RMTを利用するユーザーの中には、アカウント購入後にゲームができない、あるいはアカウントを売却したが代金が支払われないというトラブルが頻発している。国民生活センターにもこうした相談が寄せられており、RMTに関するトラブルは氷山の一角に過ぎないという。

この問題に対処するため、一部のオンラインゲーム会社はRMTを利用規約で禁止し、違反者にはゲーム利用を停止すると警告を出している。しかし、RMTの取引は依然として行われており、その背景には、無数の仲介業者が存在していることがある。

マネーロンダリングの温床

神奈川県警の捜査によれば、RMTは犯罪グループによる資金洗浄の手段として利用されるケースも増えている。具体的には、他人のクレジットカードを不正に使用して、ゲーム内通貨を大量に購入し、仲介サイトを通じて安価で販売していたという。

県警はこの手法を使った中国籍の男女3人を逮捕し、約26億円もの売上を確認している。犯罪収益は日本国内の食品や雑貨を購入後、中国に輸出し、現金化する手法が用いられていたとされる。

主要な摘発事例

事例 起訴された人数
2023年 RMT仲介サイト「RMTDream」 3人

取り締まりの難しさ

RMTに関する法的な規制が不十分である現在、取り締まりには限界がある。専門家は、ゲーム業界だけでなく、法整備が求められる状況にあると指摘している。SNSやフリーマーケット経由でのRMTが横行しているため、規制が求められる声が高まっているのだ。

法制度整備の必要性

「RMTは仲介サイトにとどまらず、SNSやフリーマーケットなどでも行われている。ゲーム会社だけでは対策に限界があるため、法整備が必要だ」と語るのは、東京弁護士会の田中圭祐弁護士だ。一方で、ゲーム業界の担当者も組織犯罪に巻き込まれるユーザーが現れる懸念を示している。

まとめ

RMTによるゲーム通貨の現金取引は、ただのトレンドを超えて、深刻な犯罪の温床となっている。今後、法整備が進み、より安全なゲーム環境が用意されることが期待されるが、現状ではプレイヤー自身がリスクを理解し、トラブルを避けることが重要である。

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